バール・サンドリオン

20代の頃、Kiss-FMで週末・・土曜日だったと思うけれど、24時から「バール・サンドリオン」というラジオドラマをやっていて、それが大好きだった。
番組上でしか存在しない架空のバー「Bar Cendriillon」
シンデレラのバー、という意味の名前で、バーテンダーは女性。一人でふらりと訪れる客の女性の仕事や恋の悩み、そして、その女性たちを取り巻く男性たちの恋模様・・・
Barの女性バーテンダーと客との会話、というカタチで綴った、なんともおしゃれな番組だった。
渋いJAZZが静かに流れる中、女性バーテンダーの抑えた声と、夜更けに語られる恋の話に、自分を投影したり、そのBarがどんな内装なのか、と思いを勝手にめぐらしたり・・・
・・・
その頃。彼氏では無かったけれど、時々休みの日に海辺をドライブしたり、食事したり、お酒を飲みに行ったりしていた年下の男性がいて
私にも彼氏がいて、その人にも彼女がいて、4人でデートしたこともあるけれど、2人で出かけることもある時期、よくあった。
そもそもその男性と親しくなったのが、この番組を知っている、という話からだったのだけど、ある時この男性が
「めぐみさん、今度サンドリオンに行きましょうよ。」 と提案してきた。
「え?あれって架空のBarじゃなかったっけ?」
「いや、こないだ見つけたBarなんやけど、サンドリオン、って感じやったんですよ。」
その人とは音楽やお酒の趣味もよく合っていたので、興味を引かれ、神戸にあるそのBarに連れて行ってもらった。
・・・
お酒が好きで、一人でも時々飲みに行く私は、それこそ色々なBarに行ったけれど、あのBarほど、何とも言えない艶めいた気持ちをかきたてられたBarは無い。
ほとんど真っ暗、ともいえる照明は、最初は歩くのにもちょっと夜目が慣れないと見えづらいくらいの、最小限の小さなダウンライトと、テーブルの上の小さなろうそくの火だけ。
黒っぽく、深く腰をすえられる大きなソファーと低いテーブル。客席数も、多くは無い。
そして静かに・・・ほんとうに、聞こえる一番小さな音くらいで流れるJazzを選ぶのは、ハスキーな声のマスター。そしてその手から生まれる、極上の酒・・・
そんなだから、自然と声を抑えた会話になり・・・
機微のある会話が出来る、お酒の分かる人と、ゆっくりと時をかみしめたくなる場所。
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ふと今日、バールサンドリオン、という番組があったなぁ、と思い出したところから、連想でそのBarのことも思い出し、震災後どうなったのか分からなかったので、少し調べてみたら
今も、あるらしい。
いいな・・・いつか、お酒をゆっくり楽しめる人と、行ってみたい。
あの、バールサンドリオンを思わせる、あのBarに。

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