プロフェッショナリズム

プロフェッショナリズム=プロ意識。職人気質。【デジタル大辞泉】
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先輩ミュージシャンの方が先日紹介されてた動画。
モーリシャスに住む少年の、バケツドラム。
http://www.youtube.com/watch?v=FtNezThrwAg8

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歌を習いに音楽学校に通い始めて3か月ほど経った頃
学内で小さな発表会があった。

リハーサル。
早めに現地に入ると、まだ設営途中。

ドラムやピアノにマイクを立て、キーボード横にはDIからシールド
ギターアンプ、ベースアンプ、ボーカルマイク、ギターのエフェクターに、
それぞれの電源。

床には各楽器向けにたくさんモニターが転がり
後ろからは、太いシールドと電源。
そしてメインのスピーカー。

結果、大量に巻かれたシールドと電源が足元で交錯し
足を置く場所も無い。

そしてその時思った。
「こんなに大量の電源とコードで、いちいち楽器をつながねば
音楽が出来ないのか?????」

狭い会場だったから余計そう思ったのしれないが
実はこの感覚は
今でもどこかに在る。

自分のエレピを持っていって
電源・シールド・ペダルを繋ぎ、横にマイクを立てると
どんな最低限の現場でも4本のコードに囲まれるわけだが
つなぎ終え、他のメンバーのセッティングを待つ間
毎回

それにしても、この大量のコードが無いと
ライブ出来ないのか?と
分かっていても、未だにやっぱり思ってしまう。

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ピアノ、合唱団、吹奏楽、アカペラ、という生音の世界を経て
音楽の道へ身を投じたからかどうかはわからないが
今のような音楽をやるまで
楽器の音を、アンプやスピーカー
つまり電気を通して出す、という感覚が無かった。

全ての楽器が生音の吹奏楽の場合
ホールの残響を考え
響きにくい場所と、響きやすい場所
また、響き方で吹き方を変える。

実際にホールを使ってそういうリハーサルをすることもある。
音量も、一番大きな音のする楽器に他が合わせるのではなく
全体のサウンドのバランスで配分を考える。

ドラムが大きくて聞こえないからギターのアンプを上げるのではなくその逆。
余韻を残したければ、自分の吹き方、歌い方で作り
響きをリバーブで足すようなことはしない。
その会場と対話し、音を創る。

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そもそも音楽は、高級な楽器を使い、スピーカーをいくつも並べて
音響を考えられたホールでやらなくても
歌い、手を叩けば成立するものだ。

音環境が良ければもちろんやりやすく
聞こえてくる音も全然違い、結果出る音も違うけれども
かと言って音環境が悪いから良い音楽が出来ない、というのとは違う。

どのような環境であっても、素晴らしい音は奏でられる。
大切なのは
奏でたい音が高いところにあり
その高みに向かってどれだけ精根こめて真剣に取り組んでいるか。

それこそがプロ意識、であり
その意識の高低と
演者のその時点でのレベルが素人かプロかアマチュアかという区分は
比例しない。

その意識の精鋭の結果として
プロになっていく。

どんな素晴らしい演奏家も、一番最初は素人だ。
でもその素人の時から
聞こえている音、音に向かう姿勢はプロと同等、それ以上のところにあったから
そこへ到達出来るし、またそこで満足するということは無い。

目標とした到達点に着いた時にはもう次のことを考えている。

平屋の掘立小屋しか建てるつもりの無いプランで
100階建てのビルは建てられない。

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最近立て続けに
どうしたらプロになれるかとか、私ってどうですか、というような質問を受けたが

お手軽に答えを聞き出そうとしている時点で
質問した相手より遥か下のステージから
他人事のように上空を眺めてしまっている。

それではいつまで経っても、相手の居る上層階に上がっては来れない。
平屋はいつまでも平屋だ。

技術の差は練習すれば埋められるが
こういう、気質の違いは何を持ってしても埋められない。

本人が自分の意識を変えるしかない。

こういう音楽を聞け、こういうことに気をつけろと言われても
それを実行するのは本人だし
実行したからと言って
そのことがその人を引き上げることにつながるかはまた別の話。

周囲の人間は、目標に到達するためのアドバイスは出来るが
目標の場所、位置、高さ、大きさを決められるのは、本人だけだ。

どれほど口先でプロになりたいとか、うまくなりたいとか言っても
ちょっと手を伸ばせば届きそうなところにしか目標を置かず
小さな達成感で満足したり

あるいはそれすらも達成できなくても
一生懸命やることに意味があるとか
無駄な努力は無いとか
神様は与えられる試練しか与えないとか

自分を慰める言い訳ポエムを書いてごまかしているうちは
ステージの差を埋められる日は来ない。

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先の動画の少年には、彼がどこかで耳にした素敵な音楽や
彼の中に流れる音が、鳴っているんだろう。

バケツを並べ、廃材のスタンドに缶の蓋を付けて
木の棒で叩く。
誰に強制されるわけでもなく
身の回りにあるものを探し、彼なりに試行錯誤して吟味したものだろう。

このバケツの方が音がいい
この缶の方が、イメージしてる音に近い。
この高さなら叩きやすい。
この枝なら、いい感じで鳴る。

彼の右にあるライドシンバルは、植木か何かの枝をうまく使って
差し込まれているが
ひょっとしたらこれは家の鉢植えをこっそり拝借して
お母さんに怒られたりしたのかなとか
勝手な妄想をしてみたり。
彼のリズムの周りに鳴っているのはどんな音なのだろう。
想像するだけで楽しい。

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”プロフェッショナルとは
時間のように
つかみようが無いもの
見えないもの
形が無いもの

そういったものに形を与える。
そういう人だと思います。

僕はそういう人になりたい。”
<上田泰己・生命科学者>

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自分自身の話をすれば正直、二足のわらじはたやすく無い。
音楽の活動領域も広がり、やりたいことが沢山ある。

一方研究のプロジェクトは5年目に入り、期待値も高く
物理的な理由で応えられなくて歯がゆい思いをすることもあるし
それをやっていることで
音の演者から冷や水を浴びせられることもある。

(というか研究側の人から批判された経験は無く
むしろわざわざライブを見に来て下さる方も多いが
批判されるのは音楽側からばかりなのはどういうわけなのか)

しかし、言わば言え、だ。
自分にしか聞こえてないものを音にするのが自分の仕事で
そこに己のプロフェッショナリズムを貫くだけだ。

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最近。
曲を書くのが
とても楽しい。

今年に入って既に5曲。
最近創った曲は、ギリシャ神話を元にしたお話で
タイトルもギリシャ語。
さあ、どんな音になるだろうか。

初演は今月末のQuartet Ex。
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