空洞・ブルース・甲子園

夏の甲子園の季節。
焦げた肌、鍛えられた体、坊主頭に白い歯。
青春の群像。

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生きるということは
選ぶということ。

いくつもの夢、いくつもの選択肢、いくつもの方法
やりたいこと全部は出来ない。
やっても叶えられるとは限らない。

晩ご飯ひとつとっても
「今夜の晩ご飯」は一度きり。
そうめんで済ますのか、中華を食べるのか
はたまたイタリアンか、和食か。あるいは流行りの断食か。
食べ物、飲み物、乗る電車。全てが選択の連続。

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それでも、どうしても、どうあっても、全く選択肢にさえあがってこない、
”叶えられないこと”がある。

それは
男に生まれてみたかった、ということ。

男になりたい、とか性同一障害的なことではない。
男には負けたくないとか、そういうことでもない。

もちろん、女に生まれたことは不満でも何でもなく
女性性を謳歌している。

それは、永遠に叶うことの無い、憧憬のようなもの。

折々、この、「ああ男に生まれたかった」願望が、訪れる。

自分にどうしてもできないことは
男バンド。

男だけで編成されたバンド。

野球チームにしたって
サッカーにしたって
バスケットにしたって
バレーボールにしたって
男だけのチームのその迫力、結束力、あの”感じ”。

どうあっても女には実現できない。
高校野球だって、あれが女の大会だったら
ここまで人を熱くさせるだろうか。

男だけで構成された
決まったメンバーで動いている団体の
あの感じだけは、女が一人でも混じると、絶対に出せない。

とか書くと、女性差別的な発言ガーとかなんとか言う人がいるかもしれないが
これは差別では無く、性の「違い」。

私には、大好きな、男バンドが2つある。
自分にはどうしても出せないあの感じが見たくて
彼らのライブには、普通に客として
折々訪れる。

その気持ちは何となく
夏の甲子園を見るような感じに、近いかもしれない。
叶わぬ憧れ。
それを思う時
映画【The Rose】での、最後の野外コンサートのシーンで
Roseが ”When a man loves a woman” を歌う前に
観客と会話する場面の、あのセリフを思い出す。

~~~
You know, you know sometimes, sometimes people say to me,
“Rose, when’s the first time you ever heard the blues?”
And u know what i tell ’em?

“The day i was born”

You know why?
You know why?

‘Coz i was born a woman.

時々こう聞かれるわけよ
「ローズ、君が初めてブルースを聞いたのはいつなの?」
あたしが何て答えるかわかる?
「あたしが生まれた日よ」 って言うわけ。

何でかわかる?

ねえ、何でか分かる?

女に生まれたからよ。

===
女は、体に、空洞を持って生まれる。
それはいつ満たされるか分からない。
満たされないかもしれない。

永遠に満たされることは無いかもしれないその空洞を
女はずっと死ぬまで抱えて生きていく。

だから私は、ブルースは、あの1曲しか歌わない。
女に生まれただけで
ブルースだから。

===
じゃあもしも生まれ変わったら
やっぱり男に生まれたいですか?と
聞かれたことがある。

いや、やはり自分は
女に生まれて
いつまでもこうやって
夏の甲子園に、憧憬を抱き続けていたい。
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