追憶

昨日の夕方、ほぼ同時に飛び込んできた3通のメール。
内容は同じ。
「music cafe SOENのお兄さんが亡くなられたそうです」
ああ・・・そうなんや・・・・・
訃報の文字を見て、こんな気持になったのは、初めてだった。
ええっ?!とか、涙が出る、とか、動揺するとか、それがない。
ただ、日常生活の中にある、事務連絡のメールを見たときみたいに、ああ、そうなんだ、じゃあ、あとで通夜に行く準備しなきゃ・・・そんな気持ちだった。
あまりの、しかも突然すぎることに、現実感が全く起こらなかった。
衝撃の大きさで気持ちが壊れないように、防御機能が働いたのかもしれない。
深夜、通夜に行ってきた。
静かな香の匂い、飾られた沢山の花、分厚い記帳。200名近い方が来られたそうだ。
・・・
この方に、どれだけ世話になったか分からない。
少ない言葉で核心を突く、胸をすく率直な物言いが、とても気持ちいい人だった。
本人は毒舌と言っていたが、心底暖かい方で、いいものは良い、良くないものは良くない、ということを、ただハッキリとおっしゃるだけのこと。
平坦ではなかったと自らおっしゃってた、人生の時の積み重ねから発されるその言葉には、ただ「良かったよ」という一言にすら、奥行きがあった。
・・・・・・・
・・・と、色々さっきから書いては消し、消しては書いているが、何を書いたらいいのか分からない。
言葉は溢れてはくるが、どれも今の心の中を表してはいない。
言葉の表現力なんて、しょせんこんなものなのか。
昼間は車屋、夜はライブハウス、という2足のわらじを続けてこられていた方で、車のメンテナンスもずっとお願いしてた。今年車を変えたとき、前の車を引き取って代車を貸してくれたのもお兄さんだった。
代車を返しに行ったときのこと。
「それにしても、忙しそうやなあ。」
「いや・・ほんまスンマセンご無沙汰ばっかりで・・・」
「ええやんええやん。忙しいってのはいいことや。音楽で忙しいんやろ?一番ええやん。
まためぐみちゃんの歌、聞きたいわぁ。
今やってるバンドでも、また出てよ。」
「うわ、ほんまですか☆ でも、どっちのバンドもめっちゃ、爆音ですよ?(笑)」
「大丈夫やろ(笑) 聴きたいわ。メール見て、いっつも、聞きたいなあ思ってんねん。
ええやん。
ええことや。
がんばりやー。
オレらは、応援することしか、できんけど。」
そして帰りがけにも「ほな、また。また連絡ちょうだい。」
がんばりやー。
応援することしか、できんけど。
ちょっとぶっきらぼうな、でも、ぬくもりに満ちた、あの言い方。
素敵な人だったから、神様は、皆よりも先に、ご自身の手元に、召されてしまったのか。
お兄さんの顔を見ながら、いっぱい話した。もう、この世にはいない、この世での姿。最近、少し、白髪が目立ってきてた。
・・・
オレ、先行くわ。
めぐみちゃん、大丈夫。そこに道あるやんか。
がんばりや。なぁ。
オレらは、応援することしかできんけど。
ほな、またな。
・・・
おにいちゃん。えらい早く、先にあっちへ、行ってしまわはったなあ。
そんな急がんでも、良かったのに・・・こんなとこで、驚かせてくれんでもええのに。
ちょっと、さびしすぎるけど・・・
でもどんな長くても、あと数十年の間に、私も、そっちに行くんやしな・・・。
おにいちゃん、また向こうで会おうね。
私はもうちょっと、こっちで頑張るわ。こっちでの土産話と音楽、いっぱい持っていけるように、するからね。
それまで、しばしのお別れやけど。
ありがとう。
ほな、またね。
・・・
−−追憶−−
聞き慣れた かすれた声 扉の向こうから
いつもの あなたの口癖
その声を聞くだけで 張りつめてた日々が
陽だまりの中に ほどけてく
僕の手を取って それでいいんだよ、と
笑ってくれたのが ホントにうれしかったのに
なぜ あの日「ありがとう」と一言 言えなかったんだろう
あんなにも 愛してたのに
手を振り 離れてくあなたに 明日も会えると 信じてた
何も知らないで
離れても
そばに居ても
僕を見守ってた
あなたの笑顔が 優しすぎて
あなたに届かない この小さな手で
何ができるのか 答えは分からないけれど
あの日言えずにいた あの一言を伝えたいから
僕は今 歩いてる
僕に出来ることは
この場所から そう 歌うこと
歩き続けた その向こうで
いつかあなたに会えたなら 僕の一番の
「ありがとう」を
笑って 贈れるように

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