音が消える、その先に

先日、”CANTA FIESTA!”ライブの前日
フラメンコ舞踊家の森田志保さんと
パーカッションの大儀見元さんの
即興DUOライブを見てきた。
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踊りと、パーカッション2人だけの、即興。
会場は、中崎町の古民家を改装したギャラリー風のスタジオllena

照明も音響も空調も無く
夏の初めの湿気が、会場を包む。
2階から、鈴の音がして
片手に鈴を持った大儀見さんが
しゃりん、しゃりん、と鳴らしながら、ぎしぎし、と、ゆっくりと階段を降りてくる。

外を通りすぎる町の人の声が聞こえるほどの沈黙の中
古民家の木の床に、古い柱に、低い天井に
鈴の音が沁み込んで消える、その瞬間まで聞こえる。

「あれじゃどう考えても深刻な展開になるよねー!」と
終演後、志保さんと大儀見さんが笑っておられたが
観客が唾を飲む音も聞こえるほどの静謐の中で
2人の世界が展開していく。

フラメンコ、というよりも
フラメンコを基調とした現代舞踏、というべきか。。。。
テーマも何も提示されないが、ある物語が、進んでいく。

眉間にしわを寄せ、足を踏み
苦悶の表情で踊ったかと思えば
何かに祈りをささげるような表情だったり
激しい呼吸に、体が脈打ったり、と
見ている者に、多くの考える余白を生み出す。

「こうやって終わることだけは決めていた」という終焉は
舞台の隅にいくつもおかれた、黒い毛糸玉を
結界を閉じていくように、舞台に何本もクロスさせながらかけてゆき
そのいくつかは、会場の人にも無造作に投げられた。

・・・どうやって終わるのだろう、、と思っていると
どこかから、声がする。
んーー、、、、、と
地面からあがってくる熱のように
空中を漂う、小さな、小さな声。
大儀見さんだった。

シンバルを鳴らしながら、同調させるようにハミングしている。
そこに至るまでの1時間半近く、
踊ったり飛んだり跳ねたり回ったりする志保さんに
有機的に色を添え、導いたり、後を追ったりして
さんざん鳴らされた
大儀見さんのパーカッションだったが

最後は、静かな、歌詞の無い、歌。。。。
そのハミングのまま、片手に風鈴を持ち
また、ちりーーん。。。。と鳴らしながら
降りてきた階段を戻っていく。

沈黙に始まり、沈黙に終わる舞台。
踊り、叩き、息をあらげ、汗を飛ばした最後の最後に
歌が出てきたことに
少なからず驚き
少なからず納得した。

~~~~
・・・最後は歌ですか、、、と尋ねてみると
こんな答えが返ってきた。
「もうね、叩いてる時はさ、躊躇は無いわけよ。
シンバルに行こうとか、あれを鳴らそうとか、
それが、今までやったことの無いアプローチだったり、叩き方だったとしても
迷わずそこに手が出る。

でも、歌、ってのは、今まで出なかったんだよね。
ああ、今ここで、歌いたい!って思う場面は
あったんだよ何度も。

でも、今までは、歌えなかった。
躊躇しちゃうんだよ。
でも、今日は出たね。。。!
歌ったねぇ・・・。あははは!」

~~~~
おとといの、小場真由美さんとのDUOライブ。
この日は、家で歌ってるかのように
攻めることができた。

自由に、何の、てらいも躊躇もなく。
歌も、アコーディオンも、MCも。
今までは、これをやると、ちょっと恥ずかしいかな、と思ったり
自信がないな、と思って、やろうと思っても出来なかったことも。
この日は、出来た。

・・そしたら、来て下さった方が
「今日は頑張ってない、攻めすぎてない歌だった」
との感想。
声を張り上げる場面は、かなり少なかったと思う。
ほんの、数か所だったろう。

選曲は、マイナー深刻系のバラードが主。
ぶつぶつと、はっきり歌詞を言わなかったり
音程も曖昧だったり
声も、全然出してなかったり、ため息をついたり。
アコーディオンも
スペースをあけたり、弾いたり弾かなかったり
やったことのない弾き方だったり。

1曲終わるごとに、お客さんが大きく
ふぅぅう、、、、っ、と、息を吐き出す。
先日の、志保さんと大儀見さんの即興の
最後のように。
攻めてせめて攻めまくった結果
聞いてくださった方には
「攻めてない、ゆるやかな歌だった」

~~~~
ここのところ、良質のライブを見ることが続いた。
そこに共通しているのは
”沈黙”の美。

音が消えるその一瞬までが聞こえ
観客はそれに耳を傾ける。
演者も、観客も、そこに居る全員が、同じ場所に集中していく。
音の消える、その先に。

~~~
空間を埋めるよりも、空間を開ける方がずっと難しく
空間をただ開けるよりも
美しく空いた場所を創る方が、ずっと難しい。
歌うより、歌わない方が、ずっと難しく、勇気が要る。
しかし音楽は、開いたその空間で、自由に躍動し始める。
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◆6/11(火)奥本めぐみ(Vo/acco)&小場真由美(Pf) DUO
<1st>
New York State of Mind / Billy Joel
The Island / Ivan Linz
Fragile / Sting
A Song For You / Leon Russell
We’re All Alone / Boz Scaggs
Cheek to Cheek

<2nd>
Both sides now / Joni Mitchell
Gentle Rain
Honeysuckle Rose
Calling You
This Masquerade
Orange colored sky
<アンコール>
Wonderful Tonight / Eric Clapton

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